福岡高等裁判所 昭和27年(う)3203号・昭27年(う)3202号 判決
職業安定法第五条第一項にいわゆる雇傭関係とは、純然たる雇傭契約でなくとも、社会通念上、一般に使用従属の関係と認められる場合をいうものと解すべきところ、原判決のあげている関係部分の各証拠によつて認められるように、判示第一の従業婦N同Hと楼主である特殊飲食店一丸こと、一丸アサエ、同新七福こと永田八壽治との各契約が、たんに「部屋を貸し、稼ぎ高を折半する」といい、形式は、楼主において部屋、寝具その他を使用させ且つ食事を給して、これに対し、従業婦において、対価を支払うべきことを内容とする契約であるにしても、その実質は、従業婦達に売淫行為を反覆累行させ、その売淫行為によつて得た対価を楼主と従業婦との両者が折半しているのであつて、報酬の額を一定せず、その稼ぎ高に応じて支払うべき契約であつて、その間、一般に使用従属の関係の存することが、明かであるから、冒頭説示したところによつて、本件従業婦N、同Hと楼主の一丸アサエ、同永田八壽治との各契約関係は職業安定法第五条第一項にいわゆる雇傭関係にあたるものといわねばならぬ。
(後略)